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「保育園増設のための1.4兆円」というキャンペーンがあるけど

保育園問題、なかなか解決なんてしないですね。

毎年同じ時期に、必ず同じ声が上がり、必ず同じ問題が提起され、

いつの間にか熱が冷めたように急激にニュースからその声が消え、

そして春を迎える前にまた同じ声が上がり、のループ。

私が保育園問題に自分自身が絡んで世間に目や耳を向けてからまだ3年ですが、

それ以前もきっと(間違いなく)同様であったろうと思います。

 

最近、Facebookで拡散されてきたあるインターネット署名のキャンペーンがあります。

タイトルの通り、「保育園増設のために1.4兆円を」という、政府に対するキャンペーンです。

私はそれを読んで疑問を抱きました。

 

以前も書きましたが、この保育園問題は、このまま「保育園足りないじゃん!預けるところないじゃん!入れないじゃん!増やしてよ!働けないじゃん!総活躍とか無理ゲーじゃん!」と言い続けても、私は全く無意味だと思うようになりました。

以前、それも昨年くらいまでは、保育園増やさないとダメでしょ、と思っていたし、こういったキャンペーンには2つ返事で賛同していたと思います。

でも今回、このキャンペーンに私は賛同していません。

なぜなら。。

 

[保育園と幼稚園とは?]

 慢性的な保育士不足。そして増やしたところで担保できない保育の質。

保育園というのはそもそも「保育」を目的としています。

具体的に言うと、”自宅で子供の世話をすることができない親に代わって、通常の育児をする場所”です。

管轄も厚生労働省であり、目的も子どもの生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士が行う援助や関わりを目的とした施設です。

そして幼稚園は、「保育」に対して、言うなれば「教育」の機関です。

管轄も文部科学省であり、幼児教育課の所管学校で、大学、大学院までの教育体系の中の一環として組み込まれている教育機関です。

 

保育園に関しては、

「教育」とは、子どもが健やかに成長し、その活動がより豊かに展開されるための発達の援助である。ただし、「教育」に関しては、「義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとしての満3歳以上の幼児に対する教育」は除かれている

Wikipediaより引用

とある通り、教育を目的としていないため、3歳児クラス以上に対しても同様に「保育」が行われ、同じ年少クラスとなる幼稚園で行われる「教育」とは、定義として異なります。

 

[助成制度]

0歳から預けられないと、現実問題都市部では認可保育園に入園できる確率はとてつもない鋭角で急降下します。

それに伴い、主に育児を担当するであろう母親は育児休暇の延長を取ってみたり、それがない場合は退職を余儀なくされます。

 1億総活躍社会とか言われても、そりゃ日本死ね、とも言いたくなる現実です。

私の場合、認可保育園には2歳児クラスから入園できることになりました。 

ひとつの園のひとつのクラスに対し、150人とかの待機がいる中で入れたことは奇跡です。

しかし、その問題は3歳児になる年(年少になる年、4歳になる年)には一気に解消されている地域が多いのです。

なぜか?

保育園に入れないから、幼稚園に入園させるという選択肢にシフトした結果、という単純な理由であって、決して国や自治体の努力の賜物ではありません。

むしろ、それまでの3年間保活に疲弊し、どうかすれば職を辞し、ある程度諦め折り合いを付けるという忍耐と汗と涙を経た親の賜物です。

そしてこれは「年少になれば待機児童がいなくなるということは、イコール相対的な子供の人数に対して供給施設は足りているはずだ」とも取れます。

足りていないのは0歳~2歳児までの保育機関である、ということであり、それ故に保育園を増やすことが難しいという行政側の事情もあると言えると思います。

 

2年前、「子供・子育て支援新制度」というものがスタートしました。

この制度を導入している幼稚園では、認可保育園とほぼ同等の保育料で通園ができるようになっています。

私立幼稚園助成金の制度も並行してあり、所得や上限はありますが、一度保育料を支払うと、年に2回に分けて世帯所得に応じた金額が助成金として振り込まれます。

新制度との違いは、新制度は保育園同様入園前の3月頃に各家庭に月額保育料が市区町村から通達されそれが毎月引き落とされるのに対し、助成金は毎月幼稚園の定めた金額を支払った後に市区町村から2回に分けて振り込みを受ける、という点です。

 

この新制度を既に導入している幼稚園は現在どの程度あるのか定かではありません。

しかしこの制度を利用した幼稚園に入園したとして、認可保育園とどの程度の金額の差が出るのかを試算してみました。

 

 ■モデル

・世帯所得:400万円

・子供:1名、3歳児クラス(4歳になる年)

 ※ひとり親家庭であるかどうかはこの試算をするに辺り影響がありません。

 ※生活保護家庭なども含めて、保育料は認可保育園とほぼ同基準で定められています。

 

【認可保育園】

月額:約6万円

 -保育時間:9:00~17:00

 -昼食、おやつあり

 -別途、必要であった場合園からのオムツ代

 

【幼稚園】

月額:約4万円

 -保育時間:9:00~14:30+延長保育~17:00(週5日利用と仮定)

 -給食週3日(1食350円と仮定)+おやつ代(週5日利用と仮定)

 -その他、光熱費や遠足等積み立て金

 

驚いたことに、かなり多めに見積もったにも関わらず、同条件下において試算すると幼稚園の方がかなり安いということが分かりました。

また多くの保育園でも導入されている「兄弟姉妹が入園している場合の減額措置」や「第○子以降無料」などの制度も、この幼稚園の新制度には盛り込まれています。

 

[それ以外にも「認定こども園」もあるはずなんだけど]

 幼稚園では新制度以外に「認定こども園」という制度も始まっていますが、残念ながらこちらは東京都内ではあまり広がりを見せていません。

この「認定こども園」となるための基準、申請、設備投資、それらに時間と労力がかなりかかることが大きな原因だとも言われています。

せっかく認定を受けても1年で返上してしまったという園もあります。

認可のみならず、保育園に入所できなかった親にとって、この「認定こども園」という選択肢があれば随分と保育園への入園希望が分散され、待機児童の減少にも一役買うだろうと推察されるのですが、幼稚園側にとってあまりにハードルが高いために、希望してもなかなか申請に至るケースが少ないのが現実のようです。

もったいない。。

 

[新規保育園作るより、幼稚園に税金投入を]

 私は、保育園を増やすこと、あるいは増やせと声を挙げるその労力は、今や無駄骨だと思っています。

毎年のように増やす、増やさない、地域の反対が、うるさいという訴訟が、などの声ばかり聞いていると、心穏やかに社会復帰の準備と子供の預け先を探しつつの超ブラックマルチタスクの子育てなんてできません。

上記試算をしてみて改めて思ったのですが、同じ1.4兆円を投入するのであれば私は幼稚園に投資すべきだと思います。

働く親が幼稚園を選ばない、あるいは選べない理由の大きなひとつとして、保育時間があげられると思います。

しかしこれも、幼稚園が例えば18:00まで延長保育を受け入れてくれれば、保育園!保育園しかないっ!と血眼になる親御さんたちも少しは減るのではないでしょうか。

そして、もちろん並行して認定こども園の拡充を行い、1歳以降からの入園が可能となる幼稚園を増やしていけばいい。

保育園新設に当たっては、その土地取得や建設費用と言った目に見える出費のみならず、どこまで理解を求めたら満足とされるのか分からない「地域住民の了承」という、鉄壁が待ち構えています。

それをやっと乗り越えたとしても、慢性的な保育士不足のために受け入れられる人数が限られてしまう。

場所があっても人がいなければ預け先として成立しないのですから、ビジネスとしてももちろん成立しないし、預ける親にとっても高いお金を払って不安を買うようなものになってしまいかねません。これを本末転倒と言わずして何と言う?という状態だと私は考えます。

 

無理、です。

どれだけ国家予算を投入したとしても、保育園が保育園として機能するためのリソースがどう考えても足りているとは思えません。

 

だからこそ、私は幼稚園へ投資すべきだと考えています。

既存の言わば「箱」はそろっているし、私立公立関係なく新制度に移行してくれれば認可園よりも安くなる。

幼稚園が越えなければ行けない壁は

・延長保育時間の拡充

・施設の物理的な拡充

・若干の教員の追加

であって、箱から作りあげなければならない保育園とは全く違う、かなり先の時点からスタートが可能だ。

 

ひとつの園に対して投入される費用が少なくて済む分、多くの園に配分することができる。

隣に保育園ができるなんて知ってたらここに住まなかった!などと声を挙げる人もいない。(受け入れる年齢や人数が増える分、ある一定の騒音が追加発生することは懸念事項として認められるが)

そしてヒューマンリソースという意味では、保育士になりたい、という人よりも幼稚園の教師になりたい、という人間の方が多い昨今において、それこそ1億総活躍社会に間違いなく貢献する人材も漏れなく職を得ることになる。

同じ1.4兆円を使用した場合、

①新規保育園がいくつ建ちいつ開園できるのか

と、

②既存幼稚園が延長保育や物理的拡充や人材確保を完了できるか

を比べた場合、どちらの方が待機児童が減るのか。

単純思考かも知れないが、私は②に軍配が上がるとほぼ確信している。

親=子=園=行政

の関係が

Win=Win=Win=Win

になるという、何だかディズニーランドみたいな夢のような構図がむしろ保育園新設よりも現実味がある。

 

都内でも有数の待機児童を抱えていると言われている地域では、当然幼稚園も多かろうと推察されます。

保育園!保育園!と叫ぶついでに、幼稚園!幼稚園!と叫ぶようにしてみてはどうだろうか。

その方が気が楽なのでは、と思うし、その方が行政も対応しやすかろうと思われる。

現実味がある訴えをしなければ、毎年毎年、きっと10年後も同じことを叫んでいるだけだろう。

どこを見てもぎっしり隙間すらなく住宅だらけの都内に、どうやってたくさん子供を受け入れる施設を新設しろと言うのだ。

新設するとして、じゃぁ隣の住人に怒号浴びせられるその場所に一緒にいてくれるのか。

と物理的心理的問題に頭を抱えるお役所職員を増やすだけでは意味がない。

これでは親も役所も心とお金と時間を無駄に浪費するだけだ。

 

私は、幼稚園拡充、新制度への移行、認定こども園の拡充。

これを叫ぶ方向ならばぜひ支持したいと思っているし、私も声を上げたい。