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必要なのは新規保育園なのか?

今年もまた、認可保育園に入れなかった、落選通知をもらった、という母親たちの悲鳴がニュースでもネットでもこだましている。

私も、3歳の子供が1歳の時から2年待機の末に去年4月にやっと入所したばかりだ。

1歳の時に離婚して母子家庭となり、結婚前から病気療養してたため定職にそもそもついておらず、難病であるために保育園に入所できなければ求職することすらできなかった。

困難、なのではなく、不可能だった。

あらゆる機関に相談したが解決に至る策はどこにもなく、2回程度の相談の後必ず「生活保護を受給しましょう!」という答えしか行政からは返ってこなかった。

 

これは余談だが、生活保護にはいくつもの課題と問題、そしてハードルがある。

私の中でどうしても生活保護の申請にすら至らなかった理由は、大きく3つある。

①病気のため移動手段としての車の所有が必須

②定職に就ける保証がないため、子供にかける学資保険は貧困の連鎖の始まりを防ぐ意味で解約できない

③ペットがいる

 

①について。

生活保護を受給するにあたって、私の住む都内での車の所有は如何なる理由があっても99.9%ほどの確率で認められない。申請時に所持していることすら認められない。

市の担当者に問い合わせたところ、主治医からの意見書があればそれが考慮されるケースもある、と言われて主治医に話したところ、快諾してくれた。

それにあたり、今までそういう書類を書いたことがないからフォーマットの有無について確認してほしいと言われ、改めて担当者に電話で確認したところ、「そんなことは言っていないし、そういう申請は受け付けていない」と返答された。

これは同日に起こったでき事であって、私は非常に混乱した。

 

②について。

基本的に生活保護を受給する場合、任意で加入する保険は解約を迫られる。と言うか解約させられる。

定職についていない現状だけでも不安なのに、難病治療中の今、保育園に例え入所できたとして、すぐに病気で呼び出しのかかる乳児+持病ありの人間を、手放しで雇用してくれるところを探すことは困難を極める。

その現状を「一時的に」解決するために保険を解約すれば、私は持病を理由に二度と保険に加入することができなくなる。

私に万が一のことがあったとき、子供にどんな労苦が待つことか、想像に難くない。

 

③について。

基本的に処分するよう言われる。

私が絶対にそれはできない、と固辞すると、担当者は「こっそり市営住宅とかで飼ってる人もいるから、どうしても飼いたいなら連れて行ってもいいじゃない」と言った。

生活保護受給、母子家庭、目に見えない難病での自宅療養、なのにペット禁止の住宅でペットを飼育している。

これは隣近所にどういう目でうつるのか。

そんな目線に怯えて生活することが、果たして「保護」と言えるのか、私には皆目理解ができなかった。

 

さて、本題の「必要なのは保育園なのか」について。

私は1年間子供を保育園に通わせた。

しかし、実質通えたのはその半分にも満たない。

半分どころか月の合計で14日程度通えていたらいい方だった。

理由は単純、病気だ。

子供はよく風邪を引く。熱を出す。

保育園では基本的に37.5℃未満であればどんな体調が悪そうでも預かってくれる。

そのため、あらゆる病気が常にパンデミックを起こしている。

2歳児クラスから初めての集団生活に入った私の子供は、文字通り次から次へと病気をもらい続けて帰ってきた。

毎週毎週小児科に通い、毎日毎日何かしら薬を飲んでいた。

1日3回でないと血中濃度が安定しないことにより、2回の投薬が3回に変更になったとき、保育園に昼食後の与薬をお願いしたことがある。

すると、保育園では与薬は一切受け付けていない、と回答があった。

仕方なく、昼食後と思われる時間に自ら薬を持って園を訪れた。

すると担任に「送迎時以外は来園しないでください」と怒られる。

どうしたらいいのか分からず半泣きで事情を話したところ、主治医からの「与薬依頼書」を提出したら、審査の上で与薬可能なことがあると説明を受けた。

その足で小児科へ行き、書類をもらい、そしてその足でまた園に戻って提出したのが月曜日。

しかし、実際に与薬してもらえたのは金曜日の一回のみだった。

理由は明快。

「園長が全て判断するので、園長が不在の場合は在園するその時まで是非は保留されます」

つまり、園長は月曜日から木曜日まで不在だったことを意味している。

※厚生省のガイドラインおよび保育指針には、保育園での与薬は「医療行為」に該当しませんと明記されています。よって、園が定めた「与薬依頼書」が提出された場合、速やかにそれを受理実行する必要があります。

誤って別の園児に投与したりする事故を防ぐために与薬は受け付けていません、という返答や、看護師がいないので(医療行為にあたるので)対応できません、という回答は、このガイドラインに反します。

保育園は保護者から依頼があった場合、適切な処理を経て与薬しなければいけません。

 

これでは安心して職を探すどころではない。

ましてや、すでに就労している親御さんたちはどうしろと言うのだ。

1年間の辛抱だ、そうだろう。

その内耐性がついて病気しにくくなる、そうだろう。

慣れれば何とかやりくりできるようになる、そうだろう。

だけど、その「その内」や「何とかやりくりできる」ようになるまでの1年程度、職場と保育園と家庭の中で疲弊して過ごす時間にどんな価値があるのか。

ないとは言わないが、それは必要なのか。

 

私はそんな経緯の中で、4月から幼稚園へ通わせるという方向へシフトした。

保育園入園と同時にプレに通わせ、子供の適性を見た。

近所のあらゆる幼稚園を調べ、見学し、説明会に行った。

10月までに希望する幼稚園を2園に絞り、プレに通っていなかった方の幼稚園には定期的に開催される次年度入園希望者向けのイベントに積極的に参加した。

同日面接だったが、何とかひとりで切り抜け、結果2つとも入園許可をもらった。

そして、プレに通っていなかった方を選択し、即日入園申し込みを済ませた。

 

この時、初めて安心できた。

 

見学を重ねて分かったことがいくつかあった。

当たり前だが、幼稚園には「学級閉鎖」がある。

これは働く親にとって致命的とも言えることかも知れないが、私はこの大切さが分かる。

常にパンデミックしている状況下では、一度もらったが最後、そのまま家族が共倒れになるという構図から逃れられない。

そして、倒れている場合でない状況で仕事をしなければならない時も多々ある。

仕事にまた穴を開けてしまう。

看病すらしてあげられない。

頼れる実家も遠い。

結果、病児保育やベビーシッターなどを血眼で探す羽目になる。

働きたい。でも、大切な子供だって大切に育てたい。

それがなかなか叶わない現実に、だんだん、いやどんどん疲弊していく。

 

そんな中、幼稚園はまた違う。

預かってくれる時間は確かに短い。

延長保育を受け付けてくれたとしても17時までのところが多い。

仕事の時短や残業なしなどを複数年に渡り認めてくれる企業も少ないという現実もある。

それでも、パンデミックがない分子供がいらぬ病気をもらってきてしまうリスクを下げることはできる。

楽しくお友達と過ごす時間の裏で、親も幾分安心して働くことができる。

 

認定こども園」という制度ができていくらか経つが、都内では23区を中心とした都心地域でしか広がっていない。

また、幼稚園が認定こども園に移行したいと申請をしても、その準備から申請までに2年ほどかかるそうだ。

申請してからも認定されるまでに時間を要するため、申請に積極的になれないのだそうだ。

せっかく認定されても返上してしまう園すらある始末だ。

 

保育園を新設しようとしたら、近隣住民の猛反対にあって断念、これも最近よく見るニュースだ。

私の住む自治体でも同様、3つの園の新設がなくなった。

それなのに、大型マンションがどんどんと建設されていて、ファミリーがどんどんと流入してきている。

これでは待機児童は一向に減らないばかりか、「一億総活躍社会」など程遠いにもほどがある。

 

子供を預かる施設を新たに作る事が難しい、できない、のであれば、今ある施設をいかに有効活用するかにシフトすべきである。

できないことに、毎年毎年声を荒げていても何も変わらない。

こと、相手が行政である場合、その声はその事態の大小に関わらず届くことの方が稀だ。

保育園新設がもはや机上の空論にしかならないのであれば、これ以上議論しても無駄だ。

幼稚園)延長保育を18時程度まで引き延ばしてもらう。

行政)認定こども園への移行をもっとスムーズにできるようオペレーションを見直す。

企業)育休の延長ではなく、時短や残業無しなどの複数年に渡る措置を講じる。

 

今ある子供に対する受け皿を、もっと有効活用できる方法を模索しなければ、これはもう向こう10年は解決しないだろう。

少なくとも、少子高齢化社会において絶対的な発言権を有している高齢者たちがその口をつぐむまで、あるいは少子社会の問題と前向きに向き合ってくれる日まで。